締めが今頃になってしまった。くるくる回るジダンより高く飛ぶカンナバーロが好き。イタリアのサッカーが好きなので、カンナバーロにトロフィーを掲げてほしいと思っていた。バッジョの華麗さに魅せられて始まったW杯観戦歴である。PKをはずして芝生に目を落としたしまったあのときからの思いを今ここに!カンナバーロはそのときユース世代だった。子供の頃に焼きついた世代が活躍しているのである。連綿と続くワールドカップの歴史。結局のところイタリア人でもなんでもないので、うれしい!ではなく、うらやましいでしかなかった。ああうらやましい。生きてる間にいちどでいいから自国優勝を見てみたい。ちょっと無理そうなので生まれ変われるなら自国優勝できそうな国に生まれ変わりたいな。
カンナバーロはPKのとき不動の姿勢で見ていた。そのカンナバーロにピルロが抱きついてる。息が詰まるようなPK。決勝戦でPKをすること自体、実のところわたしは疑問。トーナメントはどっちかが進まないことには対戦相手が決まらんし、しゃあないかと思うけど、PKで優勝が決まるなんて、ほんとのところはむなしい。
11人が10人になってもあげくに9人になっても崩れないイタリアの守備。ネスタが怪我をしてもマテラッティ、マテラッティが退場になってもバルザーリがでて、崩れない。それを維持してるのはカンナバーロ。デロッシが退場の不測の事態になっても折れない心。チームの結束力がさらにUPしていくのを見るのは気持ちいい。同点にされてあげくに負けてしまう日本とは違う。苦しくても負けない。だから予選突破できる。国歌斉唱のときイタリアは肩を組んで高らかに歌う。どっちかというとそういう国じゃなかった。セリエAで不正騒動がおきて、選手たちは誇りを保つためこのW杯に対する思いは高かったようだ。高い個人技にチームの結束力、これこそがサッカーの醍醐味。
ものすごく個性的な集団。ピルロの華麗さは、ガットーゾやカモラネージの献身的な激しさで生きる。ガットーゾのハチャメチャさは、他が普通に見えるくらいである。トッティが旗をほっかむりしたままメダルをもらってもなんだか目立たない。優勝が決まってからのイタリアのはしゃぎようは、式を粛々と行いたいドイツの関係者をイライラさせている。
カンナバーロがコースを切ることによって、ブッホンはその才能をいかんなく発揮できる。ふたりはお互いを支えあっている。二人が抱き合うとどうしても抱きついてるカンナバーロだったり、ぶらさがってるカンナバーロになってしまうけど、心情的には逆なんだろうなあと思ってる。とっても個性的な集団をひとつにまとめているカンナバーロ。守備がそのまま攻撃につながる。ボールカットしてそのまま攻撃へ。攻守の切り替えの早いサッカーが好き。電話番号のように変わる布陣でも選手交代もなく、こなしていくイタリア選手たち。23人がそれぞれの活躍を見せるイタリア。リッピ監督だけが代表の時間をたくさん与えられているわけではない。守備を1から教えているはずもない。イタリアのするべきサッカーが根底にきちんと浸透している。
ビエラ(痛んで)→ディアラ(後半11分)リベリ(ふらふらになっていた)→トレゼゲ(延長前半10分)アンリ(痛んで)→ビルトール(延長後半2分)、3人をはがされてジダンがきつそうだった。リベリがいなくなってほんときつそう。それでもヘッドを放ってた。ブッホンのスーパーセーブで事なきを得たけど。勝ちたい気持ちが高ぶりすぎてたんか、マテラティが疲れたジダンを怒らす術を知ってたんか。単純に売り言葉に買い言葉の子供じみた喧嘩だったのか。あまりの切れように何をいってまったんだ?マテラティ?が最大関心事になってしまった試合になった。
ジダンが移民であり、去年の暮れのフランスの暴動騒ぎを見ていても、フランスがこの試合で優勝してもう一度あの頃のようにひとつになって、いまの事態をのりこえたいと思っていたのも影響してるんか、話はどんどん膨らんでいく。ジダンにマンデラやガンジーを求めてもいかんのかもしれんけど、あやまるけど後悔しとらんというのはなあ。言葉の暴力も許されんけど、結果じゃあ何に線引きすればいいのかというと手を出してはいかんということでしか線引きはできない。マテラテイにも処分があるだろうけど、じゃあジダンが我慢すればマテラテイは処分もされないわけで、言ったもん勝ちかとかなってしまう。だから準決勝だったかな、キャプテンたちが人種差別は止めましょうとことさら宣言してるんだろうけどね。
MVPの剥奪なんてやめとけば、いったん上げたものをとりあげるなんて、それもこれも含めてジダンだと思うからあげたんじゃないの?フランスも負けたわけじゃない。MVPぐらいフランスがもっていってもいいと思う。ジダンがいなくなってフランスは負けなくてすんだと思ってる。イタリアボールになったらものすごいブーイングで攻撃にならなかった。デルピエロにかけてリッピ監督は交代してみたけど、最後はうまくいかんかった。残りの時間にダッシュをかけたけどうまくいかんかった。
さて夢のようなサッカーから現実へ。生観戦のサッカーはテレビとはまた別のワクワク感がある。ただし現実は厳しい。最下位からの再スタート。どっちが勝っても負けてもよかったサッカーではない。負けたら困るサッカーである。
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